USBより一歩踏み込んだ“音作り”や拡張性を求めるなら、XLRマイクが最有力。この記事では配信に強い厳選10本を、用途別の向き不向きや実ユーザー・専門家レビューと一緒に紹介します。
XLRマイクを選ぶ前に:配信で重視すべき5ポイント
- 指向性:環境ノイズに強い単一指向(カーディオイド)が基本
- 方式:ダイナミック=環境に強い/コンデンサ=繊細でクリア
- 感度・自ノイズ:静かな声や囁きも扱うなら重要
- 操作系:ローカット/PAD/ミュート等があると実運用がラク
- ゲイン余裕:低出力ダイナミックは高ゲインのプリが必須(SM7Bなどは60dB級が推奨)。
配信用に本気で推せるXLRマイク10選(レビュー付き)
1) SHURE SM7B(ダイナミック/単一指向)
向き:雑談・ゲーム配信・歌ってみたを“放送級”に。環境ノイズ対策も強い
短評:放送・ポッドキャストの定番。+60dB前後のクリーンゲインがあると真価を発揮。
配信者の声
「雑音をよく弾くから声が前に出る。ゲインは多めに必要だけど“完成形”の質感」
参考:Shure公式“SM7Bは+60dB推奨”の記載。
2) Electro-Voice RE20(ダイナミック/単一指向)
向き:ラジオ風トーク、低域に厚みのある“DJボイス”
短評:Variable-Dで近接効果を抑え、位置ズレでも音色が安定。放送の古典的名機。
配信者の声
「距離がブレても“オフマイク”になりにくい安定感。渋さのある中低域」
参考:EV公式“Variable-Dで最小の近接効果”。
3) RØDE Procaster(ダイナミック/単一指向)
向き: untreatedな部屋でのゲーム実況・トーク
短評:タイトな低域とプレゼンス感で“声が抜ける”。内蔵ポップフィルタ。
ユーザーの声
「ポッドキャストやボイスオーバーに自信を持って薦められる仕上がり」
4) RØDE PodMic(ダイナミック/単一指向)
向き:手頃に“放送質感”を出したい配信全般
短評:内部ショック&ポップ対策を備え、配信・ポッドキャスト最適化チューニング。
ユーザーの声
「ほぼEQ不要で“しゃべるだけで決まる”配信向けチューニング」
5) Audio-Technica AT2020(コンデンサ/単一指向)
向き:ナレーション・歌・VTuber配信(クリアさ重視)
短評:入門の鉄板。48Vファンタム必須、20Hz–20kHz、144dB SPL。
ユーザーの声
「この価格でここまでクリア。環境を整えれば“配信+録音”の両立が可能」
参考:AT公式・販売店スペックに基づく。
6) AKG P120(コンデンサ/単一指向)
向き:コスパで“まず一歩”の高音質化
短評:ローカット/PADを装備(‐20dB)。最大150dB SPL(PAD時)。
ユーザーの声
「低価格でもローカットとPADで扱いやすい。“最初の一本”にちょうどいい」
出典:AKG仕様/販売店スペック。
7) Neumann TLM 103(コンデンサ/単一指向)
向き:ハイエンドな“声の質感”を極めたい人
短評:自ノイズ7dB-Aと高感度で非常にクリーン。静かな部屋で真価。
ユーザーの声
「滑らかな特性&超低ノイズ。処理(EQ/Comp)耐性も高い」
8) Audio-Technica AT4050(コンデンサ/指向性切替)
向き:配信+収録(対談/二人トーク/楽器)もやる人
短評:単一・無指向・8の字の三極性切替。高SPLにも強い万能機。
ユーザーの声
「切替で用途が一気に広がる。“一本で何でも”の現場向け定番」
9) LEWITT LCT 440 PURE(コンデンサ/単一指向)
向き:ナレーション&歌で“微細なニュアンス”を拾いたい
短評:自ノイズ7dB-A、Max SPL 140dB。付属品が充実(ショックマウント等)。
ユーザーの声
「静粛で解像度が高い。価格帯を超える“録れる感じ”」
10) Sennheiser e835(ダイナミック/単一指向)
向き:賃貸・PCファン音など環境ノイズが多い部屋
短評:頑丈でハウリング耐性も高め。40Hz–16kHz、感度2.7mV/Pa。
ユーザーの声
「扱いがラクで頑丈。近接で“押し出しのある声”を作りやすい」
かんたん比較表(方式・指向性・想定用途)
モデル | 方式 | 指向性 | 想定用途(例) |
---|---|---|---|
SHURE SM7B | ダイナミック | 単一 | 雑談・歌・実況の“放送級”質感(高ゲイン必須) |
EV RE20 | ダイナミック | 単一 | ラジオ風トーク、距離ズレでも安定(Variable-D) |
RØDE Procaster | ダイナミック | 単一 | untreated部屋の実況・トークに強い |
RØDE PodMic | ダイナミック | 単一 | 手頃に“放送質感”。内部ショック&ポップ対策 |
AT2020 | コンデンサ | 単一 | クリアな声の配信・歌(48V必要) |
AKG P120 | コンデンサ | 単一 | コスパ入門。ローカット/PAD装備 |
Neumann TLM103 | コンデンサ | 単一 | ハイエンド高解像/超低ノイズ(7dB-A) |
AT4050 | コンデンサ | 切替 | 配信+録音の万能(単一/無指向/8の字) |
LEWITT LCT 440 PURE | コンデンサ | 単一 | 微細表現・静粛性(7dB-A、140dB SPL) |
Sennheiser e835 | ダイナミック | 単一 | ノイズ多め部屋・出先配信でも堅実 |
セッティングTips:インターフェース/ゲイン/ノイズ対策
- インターフェース選び:SM7BやProcaster等の低出力ダイナミックは、+60dB前後のクリーンゲインが安心。必要に応じてCloudlifter等のインライン・プリアンプを。
- ファンタム電源:コンデンサは+48V必須(AT2020など)。
- マイク位置:5–15cmを目安に一定距離。ポップガードで破裂音を抑える
- 部屋対策:カーテン・ラグ・吸音材で反射音を軽減
- ソフト設定:OBS等でノイズゲート/ローカットを適用し、ピークに余裕を
目的別の最終おすすめ
- “外音をできるだけ拾いたくない”→ SM7B / RE20 / Procaster / PodMic(ダイナミックが有利)
- “声の繊細さ・伸びを出したい”→ TLM103 / LCT 440 PURE / AT2020(静かな部屋+48V)
- “一本で用途拡張したい”→ AT4050(指向性切替で対談・楽器にも)
- “まずコスパで高音質化”→ AKG P120 / e835(扱いやすく丈夫)
まとめ|“自分の声”を最大限に引き出す一本を選ぼう
USBマイクでは届かなかった“放送クオリティ”を実現できるのが、XLRマイクの最大の魅力です。
同じ声でもマイクを変えるだけで印象が一変し、「聞き取りやすい」「プロっぽい」と感じてもらえるようになります。
今回紹介した10本はいずれも、配信者・ナレーター・歌い手から高く評価される信頼のモデルばかり。
部屋の環境や目的(雑談・歌・実況)に合わせて選べば、“あなたの声をブランド化”することも十分可能です。
最後に一言──
マイクは“機材”でありながら、最もあなたの個性を伝える“楽器”でもあります。
お気に入りの一本を見つけて、今日から「音のクオリティ」で差をつけましょう。