
ニンテンドー64の周辺機器として1999年に発売された「64DD」。対応ソフトの数はごくわずかで、当時の販売も限定的だったため、いまではコレクターアイテムとして注目を集めています。
その中でも特にソフトは流通量が少なく、2025年現在ではかなりの高額で取引されているものも。今回はそんな64DDソフトの中古相場をまとめました。
ニンテンドー64DDとは?
「64DD(ろくよんディーディー)」は、ニンテンドー64専用の周辺機器として1999年に発売された磁気ディスクドライブです。
DDは「Disk Drive(ディスクドライブ)」の略で、ニンテンドー64本体の下部に取り付けて使用しました。
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専用ディスクを採用
大容量の磁気ディスクを使うことで、従来のカートリッジよりも多くのデータを扱うことが可能でした。
インターネット接続サービス「RANDnet」対応
モデムを接続して、オンラインサービス「RANDnet」でデータ交換やコンテンツダウンロードが楽しめました。
対応ソフトが非常に少ない
発売されたソフトはわずか10タイトル程度で、一般販売も限定的。結果として普及には至らず、短期間で販売終了となりました。
現在の評価・価値
当時は大きな商業的成功を収められませんでしたが、その希少性からコレクターにとっては貴重な存在となっています。特にソフトは市場に出回る数が少ないため、中古でも高額で取引されるケースが増えています。64DD本体もかなり高額で25万円前後という金額で取引されています。
高額化している64DDソフト一覧
64DD用ソフトは、合計で10タイトルが存在します。うち8タイトルはランドネットから配布され、残り2タイトルはランドネットの通信販売サービスで購入可能でした。
そのためこの記事では全てのゲームタイトルの詳細と中古相場をまとめさせていただきます。
64DDソフト一覧表
発売日 | 作品名 | 発売元 | 備考 |
---|---|---|---|
1999年12月11日 | 巨人のドシン1 | ランドネットDD | |
1999年12月11日 | マリオアーティスト ペイントスタジオ | ランドネットDD | NINTENDO 64マウス同梱 |
2000年2月23日 | シムシティー64 | 任天堂 | |
2000年2月23日 | マリオアーティスト タレントスタジオ | 任天堂 | NINTENDO 64マイク、キャプチャーカセット同梱 |
2000年2月23日 | ランドネットディスク | ランドネットDD | |
2000年4月21日 | F-ZERO X エクスパンションキット | 任天堂 | 『エフゼロX』 |
2000年5月2日 | 日本プロゴルフツアー64(英語版) | メディアファクトリー | |
2000年5月17日 | 巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合 | ランドネットDD | 『巨人のドシン』の補助ディスクであり、通販でのみ入手可能 |
2000年6月29日 | マリオアーティスト コミュニケーションキット | ランドネットDD | |
2000年8月29日 | マリオアーティスト ポリゴンスタジオ | ランドネットDD |
64DDソフトは合計でかなり少数ですので全てまとめさせていただきました。
巨人のドシン1


黄色い巨人「ドシン」を操作し、島民からの“愛”と“憎しみ”を集めながら成長していくユニークなゲームソフト。開発は飯田和敏氏で、プレイステーション用『アクアノートの休日』『太陽のしっぽ』に続く三部作の完結編と位置づけられている。64DD一式に同梱されたほか、ランドネットの通信販売でも追加購入が可能だった。
プレイヤーは、島に暮らす人々を手助けして「愛」を集めるか、建物を踏みつぶし「憎しみ」を得るか、あるいは何もせずに眠り続けるかといった自由な選択ができる。集めた感情によってドシンは巨大化し、移動が速くなる一方で、破壊のリスクも増す。ゲーム上の明確なゴールは存在しないが、島民たちが建てる「ドルメン」と呼ばれる建造物をすべて完成させるのが一応の目的となる。
64DDの大容量ディスクを活かして広大な島の状態をまるごと保存でき、さらに内蔵時計により電源を切っている間も時間が流れ続ける仕組みを採用。ナレーション(声:相馬剛三)や、ドシンの行動に応じて流れるコメント(声:緒川たまき)、南国風のBGMなど、音声演出にも強い個性が光る。
ランドネットによる特集企画やイベントなどで盛り上げられた本作だが、2002年にゲームキューブ向けに発売されたリメイク版『巨人のドシン』は一般的なタイトル扱いにとどまり、64DD版ほどの熱狂は見られなかった。なお、開発を担当した「パーラム」は2003年に「バウロズ」へ社名変更している。
- 型名:NUD-DKDJ-JPN
- ジャンル:アゲ・サ・ゲーム南国風
- 配布日:1999年12月11日
- 価格:4,500円
- 発売元:ランドネットディディ
- 開発元:パーラム(マリーガル)
中古相場:約8,900円
マリオアーティスト ペイントスタジオ


『マリオアーティスト』シリーズの第1弾として登場したお絵かきソフト。スーパーファミコンの『マリオペイント』を進化させたような内容で、64DDならではの大容量ディスクと周辺機器を活かした多彩な表現が可能となった。
プレイヤーは自由に絵を描くだけでなく、64GBパックやデジタルカメラ「デジタルカメラ64」を用いて画像や写真を取り込み、加工・編集ができるのが大きな特徴。さらに『マリオアーティスト』シリーズの他タイトルと連携することで、作成した素材をゲームや3Dモデルに活用できる拡張性を持っていた。
お絵かきソフトとしての操作性は直感的で、マウスやタブレットに対応し、子どもから大人まで幅広く楽しめる仕様に。描いた作品は保存してギャラリーに並べることができ、ランドネットを通じて作品を共有する仕組みも用意されていた。
64DDという限られた環境のためユーザーは少なかったが、その自由度の高さと実験的な遊び心は現在でも評価されており、コレクターからの注目度も高い。
- 型名:NUD-PNTJ-JPN
- ジャンル:ペイントソフト
- 配布日:1999年12月1日
- 価格:3,800円
- 発売元:任天堂
- 開発元:任天堂
約11,000円(ソフトのみ)
約44,000円(マウス同梱)
シムシティ64


パソコン版でも人気を誇る都市育成シミュレーション『シムシティ』シリーズの64DD専用版。『シムシティ2000』をベースにしつつ、64DDならではの機能や演出を加えた特別バージョンだ。
ゲームの基本は街づくりで、住宅や商業施設、公共施設を配置しながら都市を発展させていく。64DDの大容量ディスクを活かして、最大64都市まで保存可能。また、街の視点を自由に回転できる3D描画機能により、街を立体的に観察したり、住民の生活を間近で見たりすることができる。
独自要素として、64DDシリーズ『マリオアーティスト ペイントスタジオ』で作ったイラストを街の住民や建物に反映させることも可能。さらに都市の成長に応じて「ボーナスビル」が出現し、音楽鑑賞やカジノなどの要素も楽しめた。ランドネットを利用すれば、街のデータを交換することもできたが、サービス終了後はオフライン専用の作品となった。
初心者向けのビギナーズモードも用意されているが、街づくりの奥深さを楽しめる設計で、シムシティシリーズに慣れたプレイヤーでもやりごたえがある内容になっている。
- 型名:NUD-SC64-JPN
- ジャンル:都市育成シミュレーション
- 配布日:2000年2月23日
- 価格:4,500円
- 発売元:任天堂
- 開発元:HAL研究所、任天堂
中古相場:約13,000円
マリオアーティスト タレントスタジオ


『マリオアーティスト』シリーズの第2弾。自分や友達の顔を取り込んでキャラクターを作り、アニメーションやムービーを制作できるソフト。いわば「自分が主演のアニメ映画」を作る感覚を味わえるユニークな作品となっている。
プレイヤーは、用意された3Dモデルの顔部分に写真を貼り付けたり、手描きで顔を作成することが可能。作成したキャラクターは様々なシチュエーションで動かすことができ、声を録音してアフレコを行うこともできた。背景や小物の差し替えも自由で、かなり本格的な「映像制作ごっこ」が楽しめる仕様となっていた。
さらに、他の『マリオアーティスト』シリーズ(ペイントスタジオ・コミックメーカーなど)で作った素材を流用できる連携要素もあり、64DD全体を「クリエイティブツール」として活用できる点が特徴的。ランドネットを介した作品投稿や共有の仕組みも用意されていた。
当時としては斬新な発想だったが、対応周辺機器や環境が限られていたため、一般的な普及には至らず。現在では非常に希少で、コレクターズアイテムとして高額で取引されるソフトのひとつになっている。
- 型名:NUD-TALJ-JPN
- ジャンル:タレント育成・アニメ制作ソフト
- 配布日:2000年2月23日
- 価格:3,800円
- 発売元:任天堂
- 開発元:任天堂
中古相場:
約7,000円(ソフトのみ)
約13,000円(キャプチャーカセット・マイク同梱)
ランドネットディスク


64DDでランドネットに接続するための必須ソフト。簡易ウェブブラウザとメール機能を備えており、ランドネット経由でインターネットやメールサービスを利用できた。1枚のディスクで5人分のアカウントを管理可能。
ブラウザ機能は基本的なHTML表示に対応しており、動画や音声、JavaScriptには非対応。文字表示は固定の丸ゴシック体のみで、斜体や太字には対応していなかったが、コントローラによる文字入力は比較的スムーズに操作できた。
メール機能では添付ファイルに非対応で、1通あたり全角2,500文字まで。ランドネット内の「スタキャラ」サービスで獲得したキャラクターをメールで送受信できる機能もあり、受信は45通、送信は30通まで保存可能だった。
当初は「ランドネットスタータキット」に含まれる予定だったが、完成度の問題により配布が1999年12月11日に延期された。後にキーボード入力の不具合修正版も配布され、使用環境を整える形となった。
- 型名:NUD-DRDJ-JPN
- 配布日:2000年2月23日
- 開発・発売元:ランドネットディディ
- ネットワークシステム:NetFront (開発:ACCESS)
約10,000円(美品)
F-ZERO X エクスパンションキット


NINTENDO64用ソフト『F-ZERO X』を拡張する64DD専用ディスク。通常版の『F-ZERO X』と組み合わせてプレイすることで、新たなモードや機能を追加できる。
最大の目玉は「コースエディット機能」。プレイヤー自身がオリジナルのコースを設計でき、坂道やループ、ねじれた直線などを自由に配置可能。自作コースは保存して繰り返し遊べるほか、友達と対戦で走ることもできた。
また、新規マシンやカップ戦も追加され、オリジナル版以上に遊びの幅が広がる内容に。BGMは高音質アレンジ版が収録され、サウンド面でも強化されていた。
64DD本体を持っていることが前提というハードルの高さから一般的な普及は難しかったが、『F-ZERO X』ファンからは“究極の完成形”とも称される一本。流通数が少なく、現在は64DDソフトの中でも特に高額で取引される代表的なタイトルとなっている。
- 型名:NUD-FZXP-JPN
- ジャンル:レーシングゲーム拡張ディスク
- 配布日:2000年4月21日
- 価格:3,800円
- 発売元:任天堂
- 開発元:任天堂
約35,000円
日本プロゴルフツアー64


64DD専用で登場した本格派ゴルフゲーム。日本プロゴルフツアーを題材にしており、実在のゴルフコースを再現したリアル志向の内容となっている。
プレイヤーはプロゴルファーとしてツアーに参加し、試合を勝ち抜いていくキャリアモードを楽しめるほか、練習モードや対戦プレイも可能。ショット時の風向きや芝の状態などが細かく反映され、戦略性の高いラウンドが体験できる。
64DDの大容量ディスクを活かし、プレイ記録や選手データを保存することができ、長期的な育成やスコア管理も可能だった。さらに、ランドネットを利用すればオンラインランキングにスコアを登録し、全国のプレイヤーと競い合うこともできた点は先進的。
家庭用ゲーム機で本格的なゴルフツアー体験を打ち出した作品だったが、64DDの普及不足もあり知名度は低い。しかし、その完成度の高さと希少性から、現在はコレクターの間で注目される存在となっている。
- 型名:NUD-JPGJ-JPN
- ジャンル:スポーツ(ゴルフ)
- 配布日:2000年5月1日
- 価格:3,800円
- 発売元:メディアファクトリー
- 開発元:メディアファクトリー
約485,000円
巨人のドシン解放戦線 チビッコチッコ大集合


『巨人のドシン1』をベースに、異なる遊び方を楽しむための拡張ディスク。単体では遊べず、『巨人のドシン1』と組み合わせて使用する必要がある。プレイヤーは自由に遊べる『巨人のドシン1』に対し、あえて試練や課題をこなす内容になっており、万国博覧会や学園紛争を思わせる設定、そして個性的で妖しいキャラクターが登場するなど、全体的にユニークで不気味な雰囲気を持つ作品。ランドネットで通信販売されていた。
1つ目の目的は、『巨人のドシン1』内で指定された課題(例:30分間ジャンプし続ける)をクリアし、ファン向けに制作された動画「巨人以上」全17話を閲覧すること。ディスクの入れ替えを行い、本作で出された命令を『巨人のドシン1』で実行すると、達成度が判定される仕組みになっている。
2つ目の目的は、眠る「チビッコ」の夢の世界「世界ドシン博覧会」で囚われた巨人「ドシン」を解放すること。「ドシン」の解放や妨害する敵への対抗には「チッコ」を発射し、溜まる「チッコ」を管理しながら攻略する必要がある。
公式マニュアルには「『巨人のドシン1』を愛する人々のために制作された」と記載されており、熱心なファン向けの特別な内容であることが分かる。生産本数は3,000本とされ、ランドネット末期には完売。現在はネットオークションなどで高額取引される希少タイトルとなっている。
- 型名:NUD-DKKJ-JPN
- ジャンル:アゲ・サ・ゲーム南国風『巨人のドシン1』補助ディスク
- 発売日:2000年5月17日
- 価格:3,333円
- 発売元:ランドネットディディ
- 開発元:パーラム(マリーガル)
- 動画制作:UNDERSELL.ltd
約169,000円
マリオアーティスト コミュニケーションキット


『マリオアーティスト』シリーズで作成した作品をランドネットのサービス「ネットスタジオ」を通じて送受信できる通信ソフト。64DD専用で、ランドネットから配布され、通信販売でも追加購入可能だった。
このソフトでは、キャプチャーカセットを使った作品制作や、シリーズ共通の素材を利用してオリジナル作品を作ることができる。また、ランドネット経由で作品を公開・交換する機能があり、審査を経て「ネットギャラリー」に公開したり、直接他の会員と作品をやり取りする「交換ボックス」も利用可能だった。さらにコンテスト応募や印刷サービスにも対応していたが、ランドネット終了後はこれらの機能は事実上使えなくなった。
作品の送受信にはパスワードが必要で、閲覧する際は対応ソフトにデータを読み込む必要があったため、利便性はやや制限されていた。しかし、キャプチャーカセットの画像加工機能やシリーズ間での素材共有など、64DDならではの創作支援が充実していた。
- ネットワークシステム:NetFront (開発:ACCESS)
- 型名:NUD-DMBJ-JPN
- ジャンル:マリオアーティスト作品通信ソフト
- 配布日:2000年6月29日
- 価格:3,500円
- 開発・発売元:任天堂
約95,000円
マリオアーティスト ポリゴンスタジオ


『マリオアーティスト』シリーズ第3弾となる3Dモデリングソフト。ポリゴンを組み合わせてキャラクターやオブジェクトを作り出し、アニメーションをつけて動かすことができる、当時としてはかなり先進的なツールだった。
基本操作はシンプルながらも自由度が高く、立方体や球体などの基本ポリゴンを組み合わせて造形していくスタイル。作成したモデルには色やテクスチャを貼り付けられ、『ペイントスタジオ』で描いた画像を素材として利用することも可能。完成したポリゴン作品は『タレントスタジオ』に持ち込み、キャラクターとして動かしたり、映像作品のパーツに使うこともできた。
また、当時はまだ一般家庭で扱うのが難しかった「3D制作」を、ゲーム感覚で楽しめるのが魅力で、ランドネットを利用すれば自作ポリゴンを公開・交換することもできた。
販売数が限られていたため流通量は非常に少なく、64DDソフトの中でも高い人気を誇るタイトルのひとつ。ゲームというより「3D入門ソフト」としての価値が高く、クリエイティブ系のコレクターにとって外せない存在となっている。
- 型名:NUD-PLGJ-JPN
- ジャンル:3Dモデリングソフト
- 配布日:2000年2月23日
- 価格:3,800円
- 発売元:任天堂
- 開発元:任天堂
約10,000円
中古相場の傾向(2025年現在)
64DDソフトは出回り数が圧倒的に少なく、1万円〜数万円で取引されるケースが多いです。特に「マリオアーティスト」シリーズや「F-ZERO X エクスパンションキット」は状態によっては超プレミア価格になることも。
「帯付き」「未開封」などの完品はさらに跳ね上がる傾向があります。コレクター需要が中心なので、今後も価格は安定して高額を維持すると考えられます。
まとめ
64DDソフトは、当時の販売数の少なさから現在では希少価値が高まり、中古市場で高額取引されています。特に「マリオアーティスト」シリーズや「F-ZERO X エクスパンションキット」はコレクションの目玉ともいえる存在です。
今後さらに価格が上がる可能性もあるので、気になる方は早めにチェックしておくと良いでしょう。
日本プロゴルフツアー64が48万円もして驚きすぎました、、、実物拝んでみたいですね(笑)